超伝導と酸化物半導体
超伝導とは低温環境下において物質の電気抵抗がゼロとなり、物質内部の磁場の排除(マイスナー効果)と磁束の固定(ピン止め効果)が同時に見られる現象です。応用するにあたって、超伝導状態の維持にかかる冷却コストを低くするために、より高い温度で超伝導を実現する物質探索が進められています。
銅酸化物超伝導体は、伝導面となるCuO2層とブロック層が交互に積層した結晶構造をしています。転移温度の高い物質は水銀やタリウム等の毒性の高い元素を含むのが常でしたが、宮﨑教授は無害な炭酸塩を主要構成要素とするブロック層を発見し、3相の新たな超伝導体を合成しました。このうち、最も単純な構造を右図に示します。このように当研究室では、地球に豊富に存在し、かつ毒性の低い元素を選択的に用いて新たな機能性結晶を創出しています。
酸化物半導体は超伝導のような特異な電気伝導を示すだけでなく、大きな熱電係数や光伝導性を有することが知られています。 しかも温度や組成の僅かな違いで、絶縁体から金属まで、また常磁性体から強磁性体あるいは反強磁性体まで物性が大きく変化します。 従ってこれらの物性を上手に利用できれば、超伝導磁石・熱電素子・光ホログラム材料等次世代の機能性材料として将来大いに発展することが期待されます。